2020年02月29日

一輪の花

 私が小さい頃、我が家族は借家住まいをしていました。二間ほどの間取りでした。借家といえども母は、常に部屋を綺麗に掃除し、整理整頓に努め精一杯飾りました。子ども心、こんなに綺麗にしている所など他にはないだろうなどと思ったものでした。突然に誰が来ても、恥ずかしくないように部屋を整えておきなさい。貧しい借家住まいの家に、誰が来るという訳ではないのですが、これが母の口癖でした。母は、部屋の中に生花を絶やしたことはありませんでした。その花は、決して値の張るものでも、種々取り合わせた豪華な花でもありませんが、季節季節の花を茶箪笥などの上に飾っていました。花一輪の時が、ほとんどだったように記憶しています。
 アイリスやストック、フリージア、そして金盞花など庶民的な花一輪を、狭い借家に飾ってくれた優しい亡き母のことが、春めいた今日この頃、思い出されます。
posted by nikki at 09:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする