2016年11月07日

能ヶ谷通信

柿の照葉


 春先に枝を剪定して貰った時、ついでに柿の木の枝も切ってもらいました。その時、庭師の方が、柿は二年目の枝に実をつけるから今年は成りませんよと言っていたが、正にその通り、今年は全く実がなりませんでした。しかし葉は繁茂して、秋が深まって行くこの時期、いつもの年の秋のように、赤く色づいた柿の葉が何枚も庭先に落ちてきます。柿の葉は意外と大きくて、濃い緑色を遺しながらも濃い朱の斑で紅葉するのです。それがまあ美しいのです。庭掃除の手を暫し休めて、落ちてきた柿の照り葉を長い時間見入ってしまいました。


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2016年11月01日

能ヶ谷通信

おじさま


 「おじさま、おじさま」
 後の方で、そんな声がした。おじさまと呼ばれるような紳士でもないけれど、私の背中に呼び掛けているような声に振り向くと、夕暮れの中に六十代後半と覚しき品の良いおばさまがいた。
 「おじさまは、お優しいのですね」
そう言われた。
 呼び掛けられる前のこと。目の不自由な方が、ビルとビルの間に張られた金網のあたりで白杖を細かく動かしながらも、行き場を見付けられずに戸惑っていた。私は、その方に近寄って何処に行かれるのかと聞いた。ATMに行きたいという。今居る場所から十数メートルほどしか離れていない。その方に私の腕をつかんでもらいATMまでお連れした。そして私は、ATMのボックスの前で踵を返して帰路に着いた。その直後のことだった。そのおばさまに何と応えたら良いかと思っていると
「太陽のような方を見て嬉しくなりました。わたくし足を悪くしてから人様の優しさが身に染みるのです」と続けた。見るとそのおばさまは杖をついていた。
 薄暗い足元灯の光にも及ばない私は、太陽のような輝きを持っているはずもなく、途方に暮れた。そのおばさまに一つ大きく頭を下げてから私は、足早にその場を退散した。
 急ぎ足で歩きながら、正真正銘の太陽のような人になりたいなあと、この年になって思った。


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2016年10月24日

能ヶ谷通信

残花


 庭いじりをしていると、ふと甘やかな香りが漂いました。周りを見ると、既に花の時期を終えている金木犀の一枝二枝に金平糖よりも小さな黄色い花が付いていました。
 この頃、熟して殻が弾けそうな朝顔の種を摘んでいますが、たまに盛りの時よりも二回り程も小さな朝顔の花が咲いていることがあります。
 一方、ひょろひょろと延びた枝の先に、小さな薔薇の花が一輪だけ咲いています。
 我が家の小さな庭も秋が深まり、残花に侘びしさを感じる季節になりました。


posted by nikki at 16:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月17日

能ヶ谷通信

高円寺


 その昔、吉田拓郎が『高円寺』という歌を作りました。私が大学生の頃のことですから、四十年以上も前の話です。この歌のお陰で『高円寺』という街があることは知っていましたが、今まで行ったことはありませんでした。
 今日、所用があってその『高円寺』に行って来ました。賑やかなのは想像通りでしたが、何とも雰囲気のあるディープな街に魅了されました。高円寺駅の南口から真っ直ぐのびる大通りもさることながら、右手にあるパル商店街とその更に奥に繋がるルック商店街が良いのです。何処にでもある様な全国チェーン店よりも地元の商店が元気に軒を並べ、全国一律感のあるような街並みとは違い、一風独特の雰囲気のある街でした。そして、また訪れたい街でした。


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2016年10月11日

能ヶ谷通信

もののあわれ


 今朝、縁側のシャッターを開けると、濡れ縁に蝉が仰向けになって息絶えていました。何時の間にか蝉の鳴き声が聞こえなくなり、地中から出て夏中うるさいほどに鳴き競っていたのに、その姿にとても哀れを感じました。今は耳鳴りのように秋虫の音がすだく毎日です。この虫たちも何れは、その命を全うし静かな冬の日が到来するかと思うと、虫の羽根を振るわす音が愛おしく思われます。この季節、か弱き命に心が震えて正にしみじみと「もののあわれ」を感じます。十月は茶道で言うと最も侘びた月になります。華やいだ物は少し伏せて「もののあわれ」を感じる冷え枯れた手持ちの道具をだしてお茶を点てるのも、この季節ならではの一興でしょう。


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2016年10月03日

能ヶ谷通信

夜の金木犀


 待ちに待った金木犀の花が咲き始めました。その甘い香りは、私を幸福に導きます。黄金色の小さな小さな花が無数に咲き、その花は降るように散りながら庭の小道を埋め尽くします。我が家には高さ3メートルほどの金木犀が10本ほど植えてあります。この頃の夜は20℃を下回りますが、二階にある寝室の窓を少し開けて寝ています。すると、金木犀の香りが入ってきて寝室に甘い香りが満ちるのです。特に夜の暗い中では、金木犀の香りが日中よりも一段と濃密になるように感じます。金木犀の香りに包まれて眠る贅沢に、心が満ち足りています。


posted by nikki at 14:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月26日

能ヶ谷通信

朝顔の種


 毎年、北に面した庭のフェンスに、朝顔の花を咲かせています。ほぼ10メートルほどの幅で蔓が巻き付くように種を蒔きます。盛りの時には毎朝60箇以上の花をつけますが、今は10箇に満たない数で花の大きさも小ぶりです。いよいよの秋の到来を実感します。これからは、朝顔の種の収穫です。種は天気の良い日を選んでしっかり乾燥させてから来年に備えて保管します。大量に取れます。種の状態になると朝顔の種類が混ざってしまいます。それがまた楽しみの一つ。今年は、どんな色の花が咲くのか期待します。今年は、濃い青色と覆輪の入った青そしてピンクの朝顔が見事に咲きました。
 季節は確実に巡っています。


posted by nikki at 11:50| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする